一度弁装置のことは忘れて、どのタイミングで気筒の給排気が行われればいいのかを考えてみる。
右側は、前視点からのクランク回転角とピストンの位置のグラフである。時間と動きについてグラフ化して考える感覚をつかんでほしい。
次に一般的なピストンバルブで吸排気を切り替えてみることを考える。ポート幅(前後長のほうがいいのか)とピストン弁のピストンの厚みが等しく、また間隔も等しい弁体・弁を用意する。これは弁体と弁の中心が揃ってるときはポートが閉じられ給排気は無しである。中央給気、両端排気として動作を見ると・・・図で左に動かせば、ピストン左側は給気、右側は排気、逆はそのまま逆の動作をする。排気より給気のほうが圧力が高いため、ピストンは排気側に向かって動く。これをピストンの左側の空間だけ考えてみると、ピストンが右に動いている間は給気、ピストンが左に動いている間は排気がなされれば良い。
弁体中心に対する弁中心の動きを、ピストン同様にグラフ化して、2つのグラフを並べてみるとこのようになる。給気してほしいときは弁が左に動いていればいいし、排気してほしいときは弁が右に動いていればよい。大体繋がるように適当な曲線を描いてみるとなんだかピストンのグラフみたいなのが見えてきた・・・けどずれてるな???さてどうしよう?ということで・・・
ということで、弁の動きのグラフのストロークを左の断面図に合わせて縮めて、さらに90度遅れで回るクランクで弁を動かしてみる。これでクランクの進む向きに合わせて給排気が行われるようになった。ワルシャート式弁装置のリターンクランク、スティーブンソン式弁装置の偏心輪ってのはこの動きが欲しいからああなんである。
だがしかし、これでは実用上はうまくない。死点に行く前に給気を開始して、ピストンの推し始めで十分に蒸気が送られているようにしたいし、ピストンの戻り始めで十分に排気できるようにしておきたい。ようするにちょびっと弁の動きを速めたいのである。そのためには・・・
クランクをちょっと早回ししてやれば良いのである。けど、前後進で早める方向が逆だ。そもそもずらす前の基本位置が前後で180逆だ。これをどう巧く切り替えるか?これがバルブギアの役割である。
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