忍者ブログ
  • 2024.03
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • 6
  • 7
  • 8
  • 9
  • 10
  • 11
  • 12
  • 13
  • 14
  • 15
  • 16
  • 17
  • 18
  • 19
  • 20
  • 21
  • 22
  • 23
  • 24
  • 25
  • 26
  • 27
  • 28
  • 29
  • 30
  • 2024.05
[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

【2024/04/19 20:01 】 |
私論国鉄史Ver0.2

社会的要請と経営の自由度、さらに戦争絡みの余剰人員の観点から。こんな書き方してるのも割と珍しいんじゃないかなと思う。多少手は入れてあるが、新規採用人数の問題とか財投による資金調達の強制とか十河信二の首を前提としたペテンとか足りない気はする。でもまぁVer.0.2くらいなんじゃないかということで。


大日本帝国は、日清戦争の勝利で台湾を得、日露戦争で多大な出血を伴いつつ辛勝し朝鮮半島と南満州を得た。日清戦争の戦利品である東清鉄道⇒南満州鉄道の経営には、アメリカ鉄道王ハリマンの出資話があったものの「我が国が多大な犠牲の上に勝ち取った云々」で断り、よって中国巨大市場幻想に酔う者同士で利害が対立してしまった。

官設鉄道は、この流れの中、朝鮮・満州・台湾に多くの鉄道員を供給し、またその不足を国内で雇い入れ、さらに朝鮮・満州・台湾では現地先住民、多植民地からの移民の他に現地に進出した日本人を採用し事業を拡大していった。さらに徴兵による不足分も国内では女子含め新規に雇った。

大陸における利害対立、日中戦争の長期化、経済封鎖、国内世論の熱狂から第二次大戦に突入し、敗北して鮮満台から日本は撤退することとなった。

それに伴い技術伝承のための一時的な遅れはあれ数年内で一気に鉄道員が引き上げてきた。元鉄道員で職にあぶれてるからと鉄道省では引揚者をすべてではないものの大量に雇い入れ、職員数が60万人を越えた。これは明らかに適正規模を超過していた。それも低めに見積もって1.5倍という規模で、日本国有鉄道はスタート時点ですでに合理化をせねばならなかった組織であった。

合理化の宿命を負った国鉄であったが、その公社体制は官営なのか民営なのかあいまいな体制で親方日の丸で職員を首切りしにくい上に労組結成が可能、さらに運賃決定権は国会承認。過激派左翼と在日朝鮮人と労組が合わさって大騒ぎの果てに吹田事件が起きるような世相で下山事件もあり合理化は遅々として進まず。自主的運営はまったく無理な話であった。

それでも、自動車が普及しておらず、田舎の生活向上・発展のためにはどうしても鉄道が必要な情勢だったから、国が身を切って整備するというのは統治としては十分成り立つ話で、政治が作らせたのに経営責任と赤字だけが公社である国鉄に来る。それを放置するのもどうかと、社会的要請なのだからと昭和24年4月28日・昭和25年9月20日の衆議院運輸委員会における不採算路線の存在の指摘、政治が作らせたのだからと昭和28年7月29日参議院本会議の不採算路線新設にあたっての国鉄への補助の議論がある。その中で云われた「全国的な一つの交通網というものを形成」は伊達ではない。

だが政治のやること、公社体制のおかげでワンクッション置かれるが故に徐々に政治の側の配慮は失われていき、社会的要請による投資は国鉄が自力で資金を調達せねばならず、昭和30年代にはすでに国鉄経営陣は将来の経営破綻を確かな未来として予測するに至る。(典拠:未完の国鉄改革)

その昭和30年代から40年代にかけては国鉄が赤字に転落する一方で道路整備と自動車の普及が一気に進み、地方ではモータリゼーションの進展から不採算路線の廃止が社会的に許容される条件が整っていった。

国鉄は赤字に転落しようとやれるだけの経営改善と投資に身命を削り新幹線による交通革命を成し遂げた。新幹線は幹線の稼ぎ頭である特急を合理的に運営して、尚且つその速達性から新規需要も喚起したために非常に儲かった。残った東海道本線は大阪以遠への長距離優等夜行、普通列車、貨物列車が残るがこれらは新幹線に比べて非合理的な列車群である。電車化やヤード近代化で合理化は進めていたが、余剰人員をスパスパ切れるわけでなし、大きな設備投資は全部新幹線に持っていっただけあって少々苦しい。結局とんでもない非合理を抱えたままとなった。

新幹線開業前夜に国鉄総裁を引き継いだ石田禮助、「新幹線なんて危ないものを引き受けてしまった」と言ったくらい鉄道には暗い実業界出身の総裁で、実業界出であればこそ不採算部門を積極的に抱えるようなことは論理的に受け入れがたいものがあった。それゆえ昭和43年3月5日の運輸委員会での「国鉄はやりたくもない新線を政治にやらされた」という趣旨の発言につながる。それはかつて社会的要請として正当なもので、であればこそ国が出資すべきである・・・という論理で語られていたものであった。この時期に、不採算路線の存立基盤がすり替わってしまった。

東海道新幹線への投資が終了したことを受けて、特に混雑度が高い首都圏での通勤五方面作戦が昭和39年に決定された。やっと在来線の合理化とサービス向上に着手する。そして東海道新幹線は儲かったから、その次の山陽新幹線にもGOサインを出しやすい状況となる。が、すぐに国鉄自体は赤字に転落、さらに高度経済成長期のことで、建設費は徐々に上がってくる、国民の生活レベル向上で高いサービスレベルが求められ、また職員への給与も上げねばならない、何をやるにも値段が上がってきた。ところがこれに応じた運賃上昇は国会承認が必要なためどうしても遅れる、遅れる上に人気取りで低く保とうとする社会党、負けじと応じる自民党なんでは国鉄の収入増はなかなか望めない。そして道路整備が一気に進んで不採算路線では貨物列車がまるきり稼げなくなってきた。稼げないと言っても走ってる限りは人員が必要だから人員は減らない。運営を合理化できないからなおさら減らない。

サービス向上でしかないので新規の収入増はほとんど望めない通勤五方面作戦は、それでもやらねば首都圏がにっちもさっちも行かない、マトモに運行すらできない。だから資金が財投での調達になろうが必死こいて25年近くかけて完遂した。余剰人員も切れないから人員の整理も出来ない。もちろん運賃もろくに上げられない。設備だけ合理化されて終る。

首都圏以外の旅客列車も動力近代化で大幅に合理化はされた。不採算路線の類も千葉での気動車化による近代化を嚆矢とし、電化による電車化も推し進められた。
でもやはり人員の余剰はどうしようもない。電車の構造変更による整備軽減は労組の抵抗で進まない。中途半端なままである。

貨物列車もヤードの整備に大幅な投資がなされた。コンテナ化も進めた。ところが同時期に道路整備、自動車の普及は続き、ヤード継走による輸送はどんどんダメになって行った。自動化が進んだ近代的なヤードも無駄となった。これで大きな空振り投資が発生した。さらに支線区での貨物列車廃止ともなったわけだが、だからといって不要な人員を切れるものでもない。幹線系統だってヤード継走での輸送というスタイルに必要だった人員はヤード継走廃止で余ってくるわけだが、これまた切るに切れない。

ついに国鉄の経営破綻は衆目に明らかとなり、数次に渡る経営合理化計画の失敗と民営化に至る。が、民営化に先立っての大幅な不採算路線の廃止と人員整理は行われたが、人員整理は労組の抵抗でなかなか進まなかった。それでも最終的には断固として余剰人員が切られ、民営化が成し遂げられた。

JR化後は労組の抵抗もなく機材の構造自体の更新も大きく進む。民営化に先立って運賃も一気に上がった。債務もぎりぎり程度を負わせる程度にした。これでJRの本州三社が安定しないわけがない。三島会社だってそれほど酷くはない。JR貨物もあんだけお荷物扱いされていたにも関わらず、アボイダブルコストという配慮もあってやっぱり酷くはなく、バブル期と崩壊直後くらいは十分黒字も出していた。

で、JRになって問題が無くなったかと言うとそうでもない。社員の年齢構成が、若年層の欠如からいびつな形になってしまっている。これは社員教育その他の面でまったく喜ばしくない。民営化に伴う人員整理が理想的な形からは遠かったことと、バブル崩壊後の景気後退と、設備面・機材面でのさらなる合理化の進展に伴う所要人員数の減少が重なって新卒採用を大きく絞らざるを得なかったことが透けて見えてくる。

 

というわけで、人員が元々多かったこと、それが分かってるから合理化反対などの形で首切りに抵抗しまくった労組、人事権も経営権も中途半端な公社体制、それでも果たさねばならない国鉄としての国民生活に対する責務、道路整備と車の普及が一気に進んで必然的に対処が遅れたこと、サッパリ進まない幹線系統の合理化、物価上昇に追いつかない運賃値上げ、要因なんていくつもあって、「政治的思惑」の一言で片付くようなものではない・・・というのが俺の説。財政破綻なんて深刻化したのは昭和50年代のことだし、債務に占める新線建設費なんてその稼ぎと、特に新幹線における在来線の普通列車のサービス向上、さらに運賃問題を考慮すればそれほど大きくは見るべきではないものだ。

今、JRに「国鉄時代から旅情が無くなった」「行き過ぎた合理化」「車両数が減った、サービス低下だ」なんていうような批判はあるけれど、そんなもん稼ぎに応じて運営してるんだから当然のことで、地方でのロングシート化の推進も朝夕の通勤通学ラッシュに対応してのこと、急行が無くなったのだって差別化や高速バスへの対抗上の問題、失当もいいところだろう。


さらに、東北・上越新幹線の建設費が云々されるけれど、イニシャルコストだけで比べるでなしに、東海道新幹線が必要とした大規模な更新や改良、周辺対策を考慮し、物価上昇を踏まえると、新幹線保有機構からJRに売却される際の評価額になる。これが

JR東海   2.96兆円  515.4km 57.4億円/km
JR東日本 4.42兆円  766.2km 57.7億円/km
JR西日本 1.79兆円  553.7km 32.3億円/km

であり、山陽新幹線が田舎を走りつつトンネルは多くまた雪対策がいらなかったために安かったのかなぁ?という感じ。なんで、頭の回路の変な人たちが

東海道新幹線   0.47兆円
東北・上越新幹線. 4.49兆円
山陽新幹線   . 0.69兆円

の簿価額で比べるのか意味不明だよなぁ。

PR
【2011/11/05 11:03 】 | 雑文 | 有り難いご意見(1) | トラックバック()
<<高速鉄道の曲線の制限速度を計算する。 | ホーム | 収入実績を考える~需要予測をするために~>>
有り難いご意見
無題
移転のお知らせ、ありがとうございました。
早速リンクを修正しました。

こちらを改めて読ませていただきましたが、「十河信二の首を前提としたペテン」
というのが興味深いです。よろしければ別項でとり上げていただけたらと思います。

ところで加賀山之雄が、力道山の立ち上げたプロレス団体の創設期の理事の一人に
入っているのですが、何かこの親子は怪しいなあ、と思う昨今です。
【2011/11/05 18:27】| URL | k_guncontrol #5112141746 [ 編集 ]


貴重なご意見の投稿














虎カムバック
トラックバックURL

<<前ページ | ホーム | 次ページ>>