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【2024/11/24 07:07 】 |
財務省所管の地震再保険特別会計が如何に有用かについて。

1、地震再保険とは

 民間の地震保険に対する保険。 http://www.sonpo.or.jp/useful/insurance/jishin/pdf/reference/jishin_saigaiyo.pdf
 地震保険は、次のような特徴をもつ地震災害による損害をカバーするため、政府が「再保険」という形で損害保険会社をバックアップすることによって成り立っている。 > ①1災害による損害が保険会社の担保力を大幅に上回る巨額なものとなるおそれがある。 > ②災害の発生時期や発生頻度の予測が極めて困難なため大数の法則に乗りにくい。

さらには損保業界全体で地震保険のリスクを平準化する結果も得ている。

2、再保険料

 再保険自体は日本地震再保険株式会社等が各損保からの契約を取りまとめて地震保険超過損害額再保険契約という名目で政府と契約をし、徴収するという形になっている。

3、再保険金①

 1災害あたりの支払われる保険金の総額で三段階に分けて負担率が定められている。 ・1st layer(~1100億)・・・民間100% ・2nd layer(1100~17300億)・・・民間50%政府50% ・3rd layer(1.73~5.5兆)・・・民間5%政府95%  政府が払う再保険金の最大は43915億円

4、再保険金②

 災害が相次ぐなどで特別会計で積み立てた保険料等で政府責任分を払えない事態、また積み立てた保険料等の運用で 損失を被った場合などに備えて、一般会計から借りることが可能で、返済も義務付けられている。 <法律から引用> > 2 政府は、再保険金、この会計の負担に属する借入金の償還金及び利子、第十四条第二項ただし書の規定により借り換えた一時借入金の償還金又は一時借入金の利子の財源に充てるため、必要があるときは、予算で定めるところにより、一般会計からこの会計に繰り入れることができる。 > 3 前項の規定による繰入金については、後日、この会計からその繰入金に相当する金額に達するまでの金額を、予算で定めるところにより、一般会計に繰り入れなければならない。

5、日本政策投資銀行(民営化が決定済み)等に事業ごと委譲が不適切な理由

 1にある通り、地震再保険は保険料率が決定できるような代物ではなく、そのために再保険という名目で4のような緊急避難が容易な特別会計という形式で用意されている。  これを民間に移譲すると、 ・保険料率の高騰により地震保険が加入し辛い保険となる。 ・低廉な保険料では保障が不十分となるか保険が採算が取れず商品として成り立たないものとなる。 ・災害規模によっては支払い能力を超える事態の回避が不能。 ・結果的に地震保険による保障を受けられるのはごく限られた人々ということになり、国民が地震に備えることが不能となる。 などが予想される。つまり再保険の目的が丸ごと失われることとなる。

6、特別会計を丸ごと廃止して、政府から給付金を出すだけでは不足な理由

 払いきれない時は政府から給付金を出すことこは不可能ではないが、 ・同じ名目の物品の損害でもそれぞれ価値が違うように、それぞれ損害額は異なる。 ・異なる損害額の算定には時間がかかり、これに対応すると給付が遅れる。 ・異なる額の給付金は不公平感の元。災害時には禁忌。 ・政治的理由により支払いが遅れる事態が憂慮される。 等の問題がある。再保険というバックアップで地震保険を提供すると、 ・元の資産価値を事前査定。 ・不公平感の排除。 ・政治的理由で支払いが遅れるようなことが無くなる。

7、税金の無駄遣いかどうか

 本特別会計と税金との関係は4にあるとおり、保険金支払能力を超過したときに一時的に一般会計から繰り入れ、言ってしまえば「一般会計に対して借金」する形だけになっており、物価変動その他の要因を考慮した上で「相当額の返済」を義務付けられているため、災害が大規模にならない限りは一般会計との間でお金が動くことが無いし、あっても返済されるので無駄遣いには相当しない。

8、経費を税金から出してるのではないか?

 次の通り、再保険料、資金の利息や運用益のみが収入となっている中なから人件費や業務の経費を出しているため、税金から経費を出しているということは無い。 http://www.mof.go.jp/jouhou/kaikei/tokkai/160311g.htm
区分別収支計算書   (単位:百万円)
                 13年度 14年度 業務収支
     再保険業務支出       ▲125 ▲90
  人件費            ▲54  ▲55
  その他業務支出      ▲70  ▲35
 再保険業務対価見合収入 54,687 48,936
  再保険料収入       36,805 33,214
  利息及び配当の受取額 17,881 15,722
  その他収入           0     0
その他現金預金       736,207 790,769
業務収支           790,769 839,614
本年度収支          790,769 839,614
その他現金預金       790,769 839,614
人件費・経費の出し方は民間も同じであるため、その面からも民間に移行する意味が無い。

9、その他参考資料

http://www.nliro.or.jp/disclosure/q_ofjapan/index.html

というわけで地震再保険特別会計は、その形態であるからこそ最も効果的に国民に資する、 特別会計であり、無駄遣いも見当たらない。
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【2011/11/02 17:51 】 | 雑文 | 有り難いご意見(0) | トラックバック()
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